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Dita Von Teese (2011)

Dita Von Teese (2011)

欧米でのバーレスクダンサーの地位はセレブ女優並に高く、単なるフェティッシュ・ストリッパーではなく相応の文化的評価を得ています。その辺が根っこドスケベを堂々標榜している欧米人の朗らかさ、ともいえますが、ともかくこってり厚化粧で髪をもりもりにセットし、コルセットで胴体を締め上げ陰毛丸出し、みたいなフェィッシュ・スタイルが皆さん大好きで、バーレスクダンサーも多数存在しますが、その中でも現時点で頂点に立つのがアメリカのトップ・バーレスクダンサー、ディタ・フォン・ティース(42)だと思います。先般、マリリン・マンソンとご成婚後ご破算となったのも記憶に新しい所ですが、2011年、彼女の香りが発売されました。これが非常にアフォーダブルな価格なので、ジ・アフォーダブルとして再度ご紹介させていただきます。

調香は第2世代ZEN(資生堂)、アンクル・ノアールをはじめとする近年のラリック製品、大手アパレル系フレグランスを数多く手掛ける売れっ子ナタリー・ローソンで、まず2011年秋にドイツ・スイス・オーストリアで発売後、2012年5月にハロッズ限定でイギリスでも発売されましたが、不思議とアメリカとフランスやイタリア等ドイツ語圏以外の西欧では暫くの間未発売でした。しかも発売されている諸国でも、一部ドラッグストア及びデパートのみの販路限定なので、セレブ香水にしては値崩れするどころか定価より高く販売しているサイトもある位で、入手のしづらさから若干のプレミアが点盛りされているのも興味深いです。さらにフレグランスはEDP1濃度ですが、ボトルサイズが20ml・40mlと大変小さく、価格も高級店を中心に販路限定している割には大変お手頃価格(20mlEDPで20米ドル程度)なのも、高級クラブなどでのめくるめくストリップを行うバーレスクダンサーの香りとしては、奇妙な位垣根が低いです。ちなみに、ロジャ・ダヴの最新作、リスク(Risque)も発売披露パーティの際、会員制クラブにバーレスクダンサーを呼び演出の効いたお披露目をしていましたが、リスクはパルファムが50m295ポンド、EDPが100ml195ポンドといった桁違いな価格です。

そもそもこの香りが企画されたいきさつは、彼女が20年来愛用していたウビガンのケルク・フルールが、ボーイフレンドの母君がつけているものと同じだと彼氏に告白され驚愕、ならば自分だけの香りを1から作ってもらおう、と奮起した、という事になっていますが、自称ファム・トタル(完全なる女性)のディタのイメージを壊さない様、キーワードは「洗練されたタイムレス・エレガンス、グラマラス、セクシー、ダーク、ミステリアス」といった「全部盛り」なので、ナタリー・ローソンもいずれかに偏ることが許されなかったのか、とりあえず下品になる事だけはさけ、ムンムンムラムラには転ばないようにした結果、案外すっきりとつけやすい、上品で女性らしいシプレ寄りのウッディ・フローラルにまとまっています。

香りとしては、それこそ知的エロの殿堂、エタリーブルドランジュあたりから出れば全く同じコンセプトで3倍はお金が取れるんじゃないかという位、結構良くできた香りで、すった墨の様な冷涼なアイリス様の立ち上がりに、王道のジャスミン、ローズとホワイト・フローラルのブーケにパチュリやサンダルウッドがベースに据えられていますが、全体的にはクラシック「風」のトランスペアレントな仕上がりなので、重さやくどさ、肉感的な印象はありません。一方シアーという程リニアには香りませんので、その辺のバランスはこの価格の香りにしては随分頑張っていると思います。ディタの「ファンのみんなの手が届かない様なものにはしたくなかった」というのもアメリカンな良心を感じますが、少ない予算でいかに良いものを作るかといった、調香師の腕の見せ所みたいな出来栄えに、そんな自信なさげな20mlなんてボトルではなくて、欧米で一番売れる100mlサイズもちゃんと出せばいいのに、という気もしますが、唯一ネックなのは、あまりディタ・フォン・ティースのイメージではないという所でしょうか。個人的には、最近のセレブ香水の中で、初めてボトルで欲しいと思った一つです。(補足2014.6月:20ml/40mlのほかに75mlも登場しました。)

まあ、つけた途端にウエストが40cmになったり陰毛はみ出た画像がサブリミナルにちらついても困りますので、誰もが香り自体親しめる作りにしてあるのも当然の事ですが、ボトルがいかにも謎めいたブドワールの鏡台を髣髴としますので、そのボトルを手にした時だけウエストがきゅっと細くなって突然ボインになった気分をちらっと味わってください。

 

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画像:http://parfum.dita.net/ より