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La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

Eau de Gucci (1982/1993)

02-1. Classic A-G

Eau de Gucci (1982/1993)

戦後高度成長期に絶頂期を迎え、1974年には初の香水・グッチ№1を発売、ブランドとしても円熟の域にいたグッチでしたが、2作目となるオードグッチが発売されるまでの8年間は、経営危機と血族の覇権争いという地獄絵図に突入、世界的高級革小物ブランドのはずが塩ビ素材の安物バッグを乱売するまでに至る不幸な時代で正直香水どころじゃない、といったところだったのか、初出のグッチ№1発売から8年経って出されたオードグッチは、1から作ったというよりはギィ・ロベール師が作ったグッチ№1のカジュアル版(Concentratedとありますが、持続的にはEDT程度)といって良いでしょう。香りとしても№1をもとにしたクリーミーなフローラルシプレで、より肌なじみがよい「肌の香り」に仕上がっています。お家騒動後、結局新興アラブ系投資会社に株を買収され、1990年にトム・フォードがテコ入れに入社するまでの16年間、グッチはレディス香水をたった3種類、正確には2種類№1と№3)と濃度違い1種(オードグッチ)しか出せなかった事になりますが、その二つの香りが今もなお名香として廃番を惜しむ声がやまないのは皮肉な限りです。

時は過ぎ、グッチの暗黒時代も底を打ちトムフォードがグッチのクリエイティヴディレクターに就任する直前の1993年、大御所ミシェル・アルメラックの手によるオードグッチのリニューアル版が発売されます。オリジナル版オードグッチはグッチ№1のスイートなフローラル部分を少しだけ前に出し、トップのガルバナムも気持ち強調して、若返りを図った感がある以外クリーミーなフローラルシプレという相対的な印象は変わりませんでしたが、アルメラック版オードグッチはスタートが微調整済のオードグッチなので、既に強調してある部分であるハニーサックルやチュベローズの粘性フローラルを更にフォーカスした結果、シプレ感がみるみる減速し、この時代特有の大柄系強香フローラルの辺境に位置付く、パウダリーチュベローズとでも言いたくなる過積載フローラルにシフトしています。オリジナル版オードグッチを分岐点にして、グッチ№1とリニューアル版オードグッチにはもはや何の共通項もありませんが、これはこれでまったりとしたチュベローズ系フローラルで、大御所作の及第点クラスですが、今となってはタイムレスの域に昇華した80年代の逸品に比べ、逆にずいぶんと時代を感じさせる香調に感じます。

オリジナル版オードグッチ コンセントレィテッド パーススプレー