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La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

Arabian Fragrance guide 4 : Abdul Samad Al Qurashi part 3

Rooh al Musk (Deer Musk)
ユニセックス、アニマリック・ムスク。

クリーンでふわふわのホワイトムスクに対極する、一般的にブラックムスクと呼ばれる麝香鹿からとったディア・ムスク、ルー・アル・ムスク。ムスクとアンバーに関しては高級ラインに天然動物性香料を使用しているのがひとつの自慢なアラブメーカー、欧米の道義や物差しは通用しない世界に生きている証拠です(商品 説明に「鹿や鯨は殺していません(deer / whale not harmed)」と断り書きはしているので、気にはしているようですが)。慣れないうちはあまりに獣臭く、興味本意で買ったことを後悔しますが、ほんの少しつけただけなのにじわりじわりと香気が全身を包み、獣臭さは程なく引いて、かわりにヴィンテージのクラシック香水に感じるような妖艶なムスク香になります。アンバーを隠し味にブレンドしているので肌馴染みも良く、経験値の高い戦前クラシック香水ユーザーで、特にベースのムスクが好きだった方には、アラブどうこうと言う前に、掛け値なしにお試しいただきたいムスクです。この押し、この厚み、この拡がりはまず調合香料のムスクでは叶いません。お気に入りの現行クラシック香水に少しだけ重ねれば一気にタイムスリップ、破壊力は確実に向上します。マルちゃんの「身を焦がすムスク」で本当に焦げるなら、こちらは三日三晩鎮火不可能な、必殺瞬殺悩殺ムスクです。

 

価格:(量り売り)1 tola $320
ウー度 
☆☆☆☆☆

 

Royal Saffron
ユニセックス、フローラルアンバー。

アラブ6大香料のうち、最もバイプレーヤー感の高いサフラン。香料としてだけでなく医薬や染料、調味料として数千年もの間中東の人々を支えてきたサフランが 入るとグッとアラブ度が増す(その分欧風香慣れした鼻にはアクセスしづらくなるが)ものの、同じ花香料のローズほど主役の座を与えられていません。とはい うものの、希少な農産物であり重要なアクセントとなるサフランの香りを主軸に用いたシングルノートの香油もあるにはあって、ホワイトサフランとレッドサフ ランではレッドの方が等級が上がります。このロイヤル・サフランも熟練の職人が手掛けた極上のレッド・サフラン精油にアンバーをブレンドした、サフランのどこか土臭く乾いた香りをアンバーでうまく重みと甘さをつけ若干のウードで束ねている、なかなかエキゾチックなブレンドです。普段使いには難しいかもしれ ませんが、サフランのあの香りが好きな方は勿論、ブレンドのアンバーウードを入り口に、もっと個性的に装いたい時にお奨めのひとつです。

価格:(量り売り)1 tola $133.50
ウー度 
★☆☆☆☆

 

Al Taef Rose Blend
レディス、ソリフロール・ローズ。


バラの女王は誰かと尋ねたら、何と言おうとサウジのタイフ地方名産ダマスク系ローズ、タイフローズと答えるのが正調アラビアン。どのフレグランスメーカーも 歌舞伎の十八番のようにタイフローズのシングルオイル、またはタイフローズブレンドを最低1品は扱っています。貴重なサウジ農産物でもあるタイフローズに は品質によって等級があり、それだけで複雑かつ明快な香気を放つタイフローズは当然ブレンドよりもシングルオイルの方が高価になりますが、このアル・タイ フ・ローズ・ブレンドはASQのローズブレンドでは最高級品で、1トーラの瓶に12,000本のタイフローズがふんだんに使用され、アルデヒドをパート ナーにジャスミン、バイオレット、アイリス、ヒヤシンスなど主役級の花々も色を添える、メーカーが定冠詞の”アル”(Al, 英語のThe)を与えるだけはある、一点の濁りもない限りなくシングルに近いローズです。...と書きたいところですが、確かにナチュラルで上等なローズですが、このあちらも透けて見えそうな酸味勝ちの透明感がフレグランスとしては少々物足りなく、物凄くローズが好きでいつもバラの香りに包まれていたい人以外には、それ以上、価格相応の魅力が伝わりにくいのも確か。勿論、お土産にいただけたら大喜びですが、自分から購入に至るかは疑問です。

価格:(量り売り)1 tola $800.00
ウー度 
☆☆☆☆☆

 

Asil Blend
ユニセックス、フルーティ・フローラルフレッシュ。

 

欧米のアラビアン・フレグランスファン向けに、或いはアラブの欧米ブランド好きのために、各社とも徐々に中東香:欧風香の比率が等分に近づいてきています。 欧米ブランドのフレグランスにはなかなか香油がないので、中東香には馴染みがないけれど香りは是非オイルでまといたいという方にはうってつけで、しかも濃縮香油なのでシャバいトワレなどすぐに物足りなくなる持続も得られます。 ASQの新作、アシール・ブレンドもそのオクシデンタル・フレグランス(欧風香油)のひとつです。とはいえ今が最旬の香りばかりではなく(逆を返せば今フレグランス界の最旬がアラブ・ウード系なので、頼まれずとも旬を地でいっている)、どことなく懐かしどころやクラシック系を持ってくるのがASQ流。アシール・ブレンドはブランドが消滅しても系列企業のオンラインで生き残った名香、プリスクリプティブのケーレックス(1987、ソフィア・グロスマン作) を彷彿とする、グアバやパッションフルーツといったトロピカルフルーツ系、グレープフルーツ、ベルガモットの苦酸味系シトラス類、そしてピーチやアプリ コットの桃系果実、あっちゃこっちゃ産地ごっちゃ混ぜのフルーツバスケットがどーんと届いて、一生懸命手指を汁だらけにしながら台所で剥いているようなフ ルーティフレッシュです。あまり香りの展開がなく、いつまでもフレッシュなのが昨今の流行を意識しています。価格が手頃なのも嬉しい。

価格:(量り売り)1 tola $40.00*
ウー度 
☆☆☆☆☆

 

Al Basha EDT
ユニセックス、アラビアン・グリーンウードフレッシュ。

 

香油で欧風の香りを作る一方で、より西欧社会に順応した形、アルコールベースの香水も多数出揃っているアラビアン・フレグランス。欧米で主流の香水ベースで アラブの香りを楽しんでもらおうというのも大きな主流のひとつとなっています。ASQの「スプレィ」(アラブにおけるアルコールベースのフレグランスの通称)でも、人気の香りを集めた香水と香油のコフレにラインナップされてくる確率の高いアル・バシャEDTは、広大な画面をカメラが一気に旋回するような視 界の拡がりを感じるような、清々しいグリーン・ウッディノートにシトラスが弾け、大変メンズ様ですが、シトラスが抜けてくるとじんわりとウードが香りを束 ねて丸みを帯び、さすがはバフールオイルをモチーフにおいているだけあって、女性にも親しみやすいウードムスクに変わっていきます。ただこれがものの数時 間で、気がつくとアラブのアの字もなくなり、生活のどこにでも転がっているバニラムスクに変わってしまい、EDTなので贅沢は言えませんが、半日もたたないうちに跡形もなく香りが消えてしまうのが残念。長持ちさせたい場合は下着が肌に触れているような場所へ多目につ けるとまだ良いでしょう。個性的で円熟した品格もあるのに堪え性がない、気の短い役付きのおじさんみたいです。

価格:EDT 100ml $67
ウー度 
★★☆☆☆

 

Pink incense for women
レディス、クラシックグリーンフローラルシプレ。

オンラインショップの商品説明では「白馬の騎士を待ちわびるお姫様の気分で、あなたも夢見るお伽話のプリンセスに変身!」とあるだけで、一体どういう香りかさっぱりわからないフルシヤ・ピンクインセンス。試してみたら、この香りでお姫様とは、理想の王子様が現れるのを待っているうちにほうれい線も気になり出した、かなり落ち着いた雰囲気の欧風グリーンフローラルシプレでした。往年のイヴォワール(オリジナル版)やイグレックなどを彷彿とする、清楚で熱のこもらない伏せ目がちのクラシックブーケに仕上がっています。ベースのウッディノートやモスがふんわりとした香気をパウダリーに落ち着かせ、香水をつけているというよりは芳香体質のような香り立ちが上品。かなり小声の囁き系で持続も短いので、同じASQの香油と比べると迫力に欠けますが、この手の香りに必要な のは迫力ではなく育ちの良さなので、そういう意味ではフレンチクラシック香水の品格を丁寧に踏襲しています。

 

価格:EDT 100ml $107
ウー度
☆☆☆☆☆