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La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

Arabian Fragrance guide 2 : Abdul Samad Al Qurashi part 1

10. Stranger in Arab

 

Abdul Samad Al Qurashi


country : Saudi Arabia (KSA)

http://www.asqgrp.com/en/
online shop
http://store.asqgrp.com/

 

今回ご紹介する主要アラビアン・フレグランス・メーカーの中では一番の老舗、アブドゥル・サマド・アル・クラシ(ASQ)。創業1852年、戦後に勃興した湾岸メーカーなどおよびでない、他の追随を許さない歴史と血と血で繋いだ家族経営が彼らの誇りとなっています。カーバ神殿清めの儀を許された一族として、創業者家族が一般客にも時価で販売される、サウジアラビアの王族の名を冠したムハラットの数々を見ても、ASQのプレステージ度がいかばかりか計り知れるでしょう。輩出する香りは大変造作の細かい、職人芸とでも言うべき複雑かつ明瞭なブレンドが数多く揃い、調香技術や扱う原料の品質もまさに別格の感があり ます。湾岸諸国のセレブリティや王族から絶大な信頼を集め、そんな別格本山のASQもきっちりと商魂たくましく、主要メーカーでは唯一日本発送対応の公式 オンラインショップ(後述)を運営しています。パッケージ品、スプレィ品もありますが、あくまで商品の中心は伝統的な量り売りのルースオイルで、1トーラ数千ドルもするものから数十ドルで手に入るカジュアル価格まであり、まるで品評会特撰の極上品から機械摘みの普及品といった幅広い等級の茶葉を前に、好みの一杯を選ぶかのような品揃えです。相対的に他メーカーより高めですが、現実的な価格帯に秀作が集中しているのは老舗の良心を感じます。今回の特集で、一番にお奨めしたいメーカーがここ。


ASQ商品に限り、価格はASQオンラインショップ(無印)、Zarah Perfume(*)調べ(2014年6月現在)となります。
※商品群が多岐にわたるため、Zarah perfumeや他通販サイトに取り扱いがあってもASQオンラインでは取り扱いのない商品、またはその逆もあります。

 

Body Musk
ユニセックス、ホワイトフローラルムスク。

先にもお伝えしましたが、サウジの王族御用達ブレンドを日本円で1トーラ数十万、産地限定のシングルウードを十数万円で販売するASQも、そんな特権階級ばかり相手にしているわけではありません。そういう懐があるというだけで、やはり最多価格帯は1トーラ1万円未満の商品となり、メーカーの顔となるヒット商品もここから生まれます。このボディムスクも、同じアラブメーカーからインスパイア系が多数出るほど、各直営店でも一番人気の白系ムスクブレンドで、とろりとした乳液のようなテクスチャーの香油を肌に伸ばすと、そこから純白の花びらがこぼれ落ちるような美しい香りに全身が包まれ、パレットナイフで丁寧に地塗りしたホワイトウードの上にジャスミンやユリといった強香ホワイトフローラルとパウダリーなバイオレットがムスクやサンダルウッドと滑らかに混じり合う、欧米とは全く違う解釈のフローラルムスクで、持続や香り立ちの良さとどこまでも汚れないシャージは、不世出といって良いでしょう。ASQのラインナッ プに迷ったら、ウード以外ならまずこれをおすすめ。

 

価格(量り売り)1 tola $53.50
ウー度
☆☆☆☆☆

 

Boukhoor 
レディス寄りユニセックス、アラビアン・フローラル・ブーケ。

アラビアン・フレグランスの要として忘れてはならないのが、バフールと呼ばれる伝統的なアラブ香(インセンス)の存在です。粉末上・タブレット状・チップ状と様々な形状のバフールですが、基本はウードの生木をバフール用に調香した香油に浸し、オイルの染み込んだウッドチップを赤くなった炭の上にくべて香りをたてるアラブ流インセンスを言います。このバフール(香油)は、本来はそのバフール(香)を作る際にウードを浸す基本のブレンドですが、ムスク、アンバー、ローズやサフランなどアラブ主要香料の他にもジャスミンやアイリス、ユリやガーデニアなど各々が主張の強く芳しい花香料を絶妙なバランスで合わせ、薫物専用にしてしまうのは勿体ない位、渾然一体とした芳醇な香油に仕上がっています。持続が非常に良く、少量で体を包み込むように一日中香ります。同じ ASQのボディムスクに、更なるフローラルノートを重ね、見たことのない色彩と香気を放つブーケとなっています。本来はここにウードを浸すので、このオイル自体にはウード感はありません。長らく西欧の香りに親しんできましたが、記憶をいったんすべて横におき、耽溺したい位たまらない香りです。これがASQ では中低価格帯というのも、伝統に生きるASQのなせる業と言えましょう。今回の取材中、大瓶を買い直した唯一のアラビアン・フレグランス。

価格 (量り売り)1 tola $50*
ウー度
☆☆☆☆☆

 

Dhen Al Oud Cambodi Khudra (for woman)
レディス、シングルウード。

ウード商のASQは、世界中のウードの産地から選りすぐりのウードチップとウードオイルを集め、バフールや香油に仕立ててサウジの香文化を牽引していますが、主要産地であるカンボジア・ウードオイルも香りが一様ではなく、等級やタイプによって強弱や甘辛、澄濁といった香りの表情がことなります。このデナル・ウード・カンボディ・フドラは、グレー味を帯びた緑色の混濁ウードオイルで、わざわざ女性用と銘打つ程たおやかで控えめな、いぶし香や酸味のない素直なウード香が楽しめます。日本の沈香がお好きな方でASQのシングルウードを試してみたいかたにはこちらをお奨めします。着物や改まった装いにも、まるでお出掛け前に薫物をたしなんできたかのような面立ちに映るでしょう。Zarah Perfume限定。

 

価格:(量り売り)1 tola $75*
ウー度 
★★★★★

 

Zahra Al Khaleej (Gulf Rose)
メンズ寄りユニセックス、アラビアン・スパイシーシトラスフローラル。


アラブ香油界のコンパルソリー、ザーラ・アル・ハレージ(湾岸のバラの意)とジャナット・アル・フィルドゥス(至上の楽園の意)。アラブのメーカーはこのお題で、しかも最低価格帯で作らなければならないという約束でもあるのか、高級メーカーASQも例外ではありません。ASQ上最安値を誇る緑の宝石、ザーラ・アル・ハレージ。ド緑でさらさらのテクスチャーが強引すぎる水色におののきながらも試してみると、何故か欧米で良くあるやっすいメンズのスポーツフレグランスのコントラストがうんときつくなって、ギラギラの太陽を浴びて急に室内に入ると、目の前が全面緑色になる、あの目眩感に似ています。夏場、日中50度近くなるものの、木陰の風が冷涼なサウジの気候ならいざ知らず、これは日本でこなすのは難易度が高いかもしれません。あまりに安すぎて公式オンラインショップでは現在扱いなし。

 

価格:(量り売り)1 tola $25*
ウー度 
★☆☆☆☆