Subscribed unsubscribe Subscribe Subscribe

La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

Arabian Fragrance guide 1 : Ajmal

10. Stranger in Arab

 

アラビアン・フレグランス 主要メーカー及び人気代表作紹介


・構想4年、調査期間1年。アラブ諸国のローカル・アラビアンや欧米在住のネイティヴ・アラビアン、そして世界のアラビアン・フレグランスユーザーに人気の香りを調査し、実際に肌で試香した香油及び香水の数々をLPT視点で堂々紹介。

・ 価格:特に記載のないものは米ドル建:Zahras Perfume(2014年6月現在)、Abdul Samad Al Qurashi公式オンラインショップ(ASQ商品)、英ポンド建:PerfumesArabia.com(2014年6月現在)、''=英国内平均価 格(英ポンド建、eBay.co.uk出品ストア調べ、2014年6月現在)

・商品名の横に記載しているのは、今回試香した種類(EDP/EDT、CPO)です。

・ウー度:香調におけるウード体感比率、が多いほどウードの印象が強い。アラビアンフレグランスでも当然ウードを使用していないものは多数あるので、その場合はで表現しました。

画像提供:Zahras Perfumes (メーカー公式画像、ロゴ)

 

Ajmal Perfume

country : United Arab Emirates (UAE)

http://www.ajmalperfume.com/


創業1951年、家族経営の老舗にしてアラブ諸国は勿論、欧米にもその名を轟かせているドバイの世界的アラビアン・フレグランスメーカー、アジマル。増え続けるニーズに応え2004年には10億円を投資し敷地面積15万ha(東京ドーム3倍強)、日産50,000本の巨大生産拠点を設立、香油・香水をはじめバ スラインやトイレタリーに至るまでドバイの自社工場で生産しています。中東香をしっかり髄に持ちながら「良い香り」という世界共通語を流暢に話せる、間違いのないメーカーのひとつと言えましょう。古典的なアラブ香油の取引形態である量り売りルースオイルの他に産地別の高級ウードオイルを原料に用いたデナルウード・シリーズ、伝統的な中東香を異文化層にもアクセス可能にしたエスニック・シック・シリーズ、アフォーダブルな価格帯で欧米のトレンドを追随した EDP中心のエンヴォーグ・シリーズと3ブランドを中心に展開し、欧米向けに香油と同じ香りの香水(EDP)を多数ラインナップしているので、アラビアン・フレグランスに初挑戦の方も普段親しんでいる香水形式で楽しめる選択肢が多いのも魅力。

 

Mukhallat Dahn Al Oudh Moattaq EDP
ユニセックス、オーセンティック・アラビアン・ウードミックス。

同じ老舗の資生堂なら「すずろ」に位置するであろう、アジマルのウードブレンドとしては最高級ランクの逸品。エイジド・ウードオイルをふんだんに使い、澄み きったサンダルウッド、ターキッシュローズやアラブでも珍重されるインディアンハーブに正しくアニマリックなムスクが薫る贅沢なウードブレンド。欧米でも 評価が高く、アラブメーカーの出す正調ウードブレンドとして、その辺の流行系には逆立ちしても真似のできない品格を体感できます。ムハラット(ブレンド) ならではのバランスの良さ、奥行き、そして和・洋・中東、どんな正装にも負けない品格は、さすが老舗の匠といえましょう。同じ香でCPOもあり、価格は EDPの倍以上近くしますが、逆にクリスタルガラスに納められたこのEDPが100数十ドルで変えてしまうこと自体、そこらのメゾンフレグランスがいかに 法外かがわかる良き指針と言えます。

今回の特集はこの1本から始まったといっても過言ではない、アジマル版「すずろ」

価格:EDP 60ml $128、 CPO 18ml $225
ウー度
★★★★☆

 

1001 Nights (Alf Lail o Lail) CPO
ユニセックス、アラビアン・ウードミックス。

アジマルでといえば千夜一夜、千夜一夜といえばアジマルと言う位、確立した人気を誇る代表作、ワンサウザンドワンナイツ。価格はさきに紹介したムハラット・デンナルウード・モアタック(MDAOM)の1/4程度で、この辺が現実的な価格帯なのだとわかります。MDAOMのブリリアントカットな印象がもう少しざっくりシンプルになった、しっかり重さのある上品なアラビアン・ウードミックス。正調アラブ香はアラブ6大香料、ウード・ムスク・ローズ・アンバー・サフラン・サンダルウッドすべて、または組合せでできているものですが、異邦人も首を縦に振る正調アラブ。意外や勤務先の若年層がシャージを嗅いでセクシー成仏していたので、日本でもポテンシャルがあると実感しました。

価格:EDP 60ml $59、 CPO 30ml $77
ウー度
★★★★☆

 

Wisal EDP
ユニセックス、ユーロアラビアン・ウードミックス。

上記のワンサウザンドワンナイツと比べると、価格も約半分、EDPのみの展開で、明らかに欧米のトレンドを意識して作られ、結果として若年層の支持を得たとおぼしき人気作。アラビアンムードに90年代初頭のエタニティー(レディス)がかぶったような、欧米では定番化した香調をアラブ風に展開している感があり、少々安っぽくなっています。日本でつけるにはどきつくチープなエタニティ風に香る危険性をはらんでいますが、あの辺が好きなかたにはアラブ入門編として良き架け橋になってくれるかもしれません。

 

価格:EDP 50ml $32
ウー度
★★★☆☆

 

Sandalwood CPO
ユニセックス、ココナッツ・ウッディ。 量り売り品。

サンダルウッドの最高級品はマイソール産。香水好きなら周知の事実ですが、マイソール産を謳うサンダルウッドの一体どれだけ本物なのか、答えは限りなくゼ ロ。ましてや、異邦人が小銭で買えるサンダルウッドオイルにそれを期待するのはお門違い。いまやマイソール産の代替品だったオーストラリア産ですら貴重 品。幾らアジマルやASQといった高級メーカーといえども、マイソール産のイメージに近づけようと必死に他の材木系オイルと合成香料を調合した記憶スケッ チに過ぎず、しかもサンダルウッドのどのへんが好きかで大きく表現が変わってきます。このアジマルのサンダルウッドも、クリーミーなココナッツ様にバニラ でとろける甘さを過剰演出したウッディノートで、きっと本物はこんな香りじゃないんだろうな、と素人鼻にもわかる、とってもトロピカルなココナッツウッ ディノートに仕上がっています。お風呂上がり、キャリアオイルに混ぜてマッサージしたらとても寛げそうな香調で、ラストはお約束のバニラムスクに落ち着き ます。それでもASQのサンダルウッド・スピリットに比べると、多少澄んだ木の香りを感じる上、持続も良いので、これはココナッツウッディクリームだと割 り切り、サンダルウッドだと思わなければ角の立たない良い香りです。

 

価格:1tola £12.99
ウー度 
☆☆☆☆☆

 

Oudh Raysan EDP
ユニセックス、シングルウード。

アジマルのスプレィ(アラブメーカーでは、アルコールベースの香水は基本的にアトマイザー形式のボトルで販売されるため、「スプレィ」=「欧風香水」を指す)では中庸の価格帯にあるウード・レイサン。香りも中庸なウッディノートが程よくブレンドされたスモーク香のないウードのシングルノートです。中庸とはいえ、昨今の猫も杓子もウードのタケノコよりははるかに肝の座ったウー度感が楽しめます、しかもこの価格帯で。シングルウードは未体験だけれど高級沈香のお線香が好き、火をつける前はもっと好きという方には失敗がないのでお奨め。ちなみに線香の立場で言うと、日本香堂の伽羅大観は、ウードが確かに日本で言う沈香だとわかる香りです。

 

価格:EDP 30ml $65
ウー度
★★★★★

 

Arabian Musk
ユニセックス、ディープフローラルムスク。量り売り。

アジマルはルース(計り売り)香油も多数扱っていますが、経済的な価格帯のルースで一番人気がこのアラビアン・ムスク。1トーラ(12ml)10ポンドもせ ずに手に入る経済的な香りとは思えない、猛烈に妖艶で濃厚なフローラル・ムスクで、真っ先に彷彿としたのがカネボウ時代のナルシス・ノアールでした。黒水仙がすっかり水のように薄くなってしまった今、あの人を狂わすような妖婦の香りを今に受け継いでいるのはこれだ!と浮き足だったほどです。黒水仙のオレンジ香が数歩後ろに下がったら、アラビアン・ムスクになるでしょう。CPOの真骨頂である濃度も十二分、朝つけても夜まで十分香続ける底力に、アラブの計り知れない表現力を見ました。

価格: 1tola £9.99
ウー度 ★★☆☆☆

 

Al Musk Al Oudh
ユニセックス、ドライウードムスク。

アジマルの新作で、アラブ6大香料の中でも双璧を合体させた、その名もずばり「ムスクウード」。原料もシンプルに「ウードオイル、エッセンシャルオイル、合成香料」、以上。何も足さない、何も引かない潔さを感じるこのブレンドは、体感的にはムスクとウードが3:7或いは4:6のウード勝ちで、新鮮な樹木の芯をかち割ったような生木の清浄感が味わえるような濁りのないウードノートを、軽いリフトのブラックムスクが包んでおり、直球な名前から想像するほどの暑苦しさはなく、むしろ香り立ちが控えめで淡麗な印象すら与えています。和の沈香も彷彿する中辛口なので、これで和装も確信犯的にキマるはず。アジマルの香りは、試したものはいずれもアラブ社会に縁がなくても体感の心地良さでアクセスしやすく、無理のない香りが多いので、アラビアン初心者にも間違いがありません。ただし、いずれのメーカーにも当てはまりますが、あまりに安価なラインはいかにも合成香料の塊だとあたりがつく人工的な香りが多いので注意が必要です。

端麗辛口、喉越し爽やか

価格:CPO 12ml、$55
ウー度
★★★★☆