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Givenchy III (1970) original parfum

Givenchy III (1970) original parfum

パルファム・ジバンシィのレディスとしては3作目にあたる事からネーミングされたといわれるジバンシィ・トロワは、ピエール・ディナン作のボトルに収められ、発売と同時に芸術オスカー賞を受賞。当時としては燦然と輝くデビューだったものの、時の流れと共に消失、2007年レ・パルファム・ミシークの一つとして限定復刻されました。現在でもミシーク版の在庫を細々と見かけますが、 日本でもトロワは廃番後ミシーク版の発売がなかったので、ル・ド同様手に入りづらい香りの一つになりました。

 香りとしては、近似値にY(1964)がおり、いずれも高度成長期グリーン・フローラル・ シプレの王道ですが、Yが若干の苦みをもったクールビューティ(それゆえ、サマー フレグランスとしては秀逸)だとしたら、トロワはそれよりも若干もったりとした脂性の温かみがあり、またトップからドライダウンまでの表情がYよりも明確で、 展開にストーリー性があるのが面白いです。立ち上がりに一瞬手で引きちぎったかの益荒男ぶりなハーバル感を感じ、ヴィンテージのカランドルにも見られる「脂性の熱源反応」 のようなアルデヒドから、一気にローズ・ジャスミン・スズランといったクリーミィな フローラルとモッシーなベースが渾然一体となって、特定のノートが突出せずふわふわと したオロナイン香に近いフローラル・シプレに落ち着くので、最初はボーイッシュだったのに、どんどんと女性らしい面立ちが顔を見せ、抑えた包容力で温かく寄り添う、出過ぎない美しさに変化します。パルファムだからか展開が緩やかかつ表情が豊かで、ミドルから ラストが特に心地よく、大人のデイタイムの香りとして完成度が高いのですが、何分現在は新品が手に入りづらいので、多少一本調子ですが同じ果物の別品種、程度の近似値である Yが代替品としてお奨めです。

パルファム 7.5ml パッケージ

パルファム 7.5ml ボトル

 

 

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