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Le de Givenchy EDT (Les Parfums Mythiques, 1957-2007)

Le de Givenchy EDT (Les Parfums Mythiques, 1957-2007)

ジバンシー初出の香りであるル・ドは、当初ランテルディと同時期に制作されましたが、ランテルディはご存じの通りA・ヘップバーンへH・ジバンシーが個人的にプレゼントし、後に一般発売された一方で、このル・ドはもともとジバンシーのオートクチュールの上得意や友人のために作られ、こちらも1957年に一般発売された当時は販路限定品で、パリ・ロンドン・ニューヨークの4つのデパートでしか販売されませんでした。クラシック香水ファンの間では、常に争奪戦が繰り広げられている、希少性の高い香りでもあります。

どちらもジバンシーにとって顔の見える相手しか対象でなかったためか、大変丁寧に、贅沢に作り上げられましたが、時代の変遷とともに廃番、その後2007年にパルファム・ジバンシー創立50周年を記念して、ジバンシー往年の香りをできるだけオリジナルに近い処方でレディス6種、メンズ4種を限定復刻したレ・パルファム・ミシークの一員としてランテルディ等と共に戻ってきました。限定だったのと、シリーズの中でも流通量が少なかったのか、日本では未発売、海外でも殆ど流通せず、たまに見かけても他の復刻品と比較して値崩れもせずオリジナル同様希少性を保っています。 オリジナルの調香は、ユース・デュー(1952) ノレル(1967)等を輩出し、所属した IFFでは大御所ソフィア・グロスマンの恩師でもあった名匠、エルネスト・シフタンですが、ヴィンテージのパルファムと比較すると、面影はあるものの、EDT濃度というのも手伝って、相当ライトに仕上がっています。コリアンダーなどのスパイスが微かに効いたスズランが中盤まで後を引き、そこにジャスミンやローズがオーバーラップしてくる、かなり軽口のグリーン・フローラルで、あまりクラシック感がないので、ヴィンテージと比較して遜色ないクラシック感を誇ったミシーク版ランテルディのパンチに比べ、ル・ドの場合は終始そこはかとなく小声で香るので、ヴィンテージでファンになった方には清潔すぎて物足りないかもしれません。朝ふんだんにまとっても、お腹のすく頃にはもう香りません。この濃度なら、クラシック香水ファンとしては春夏向けのオーレジェール的位置づけだと思います。ジバンシーの綺麗なサマードレスをまとい、こちらが声をかけると腹に力の入らない澄んだ声で応えるような華奢な女性、こちらも若かりし頃のヘップバーンの面影を湛えている、といえば、現代の若いファンがヘップバーンのモノクロの名画を見て脳裏に浮かぶ香りは、どっしりとベースのあるオリジナル版ではなくこちらのミシーク版ル・ドなのかもしれません。

 

ミシーク版ル・ドEDT100ml