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La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

Molinard 1849 collection : M de Molinard (1979/2005)

02-2. Classic H-M

Molinard 1849 collection : M de Molinard (1979/2005)

現在も家族経営で運用されているグラースの香水・香料メーカー、モリナールが 2005年にそれぞれの時代の顔ともいうべき作品を7点、香調も一部再構成してEDPで(アバニタだけはパルファム濃度)復刻させた限定盤、1849コレクシオンですが、いかにもグラースのお土産価格でカジュアルに買える通常のモリナール製品と比べ数倍の価格帯(アバニタはUS$295、他はUS$185)で販売された上、100mlサイズの縦長ラリックボトルに別添ポワール付、松花堂弁当サイズの外函がゴージャスすぎて売行きがあまり良くなかったのか、一時期はアバニタなどは定価の1/3位で投売りされていましたが、それも底打ちしてモリナールの極東代理店、モリナール・オーストラリア(豪モリ)でありきり販売後、2013年半ばに豪モリが潰れた時点で市場から消失しました。今回紹介するのは、通常はモリナール・ド・モリナール(1979)として知られるエム・ド・モリナールです。薄口でぞんざいな印象すら抱く現行のモリナール製品中、 アバニタと並んで図抜けてまじめに調香された香りで、モリナールの二傑と言ってもよいでしょう。

<参考:1849コレクシオン全アイテム>

Gardenia(初出不明)

Habanita(1921)

Iles d’ Or (1929)

Verveine de Molinard (1948)

Nirmala(1955)

Un Air de Molinard(1955)

 ・M de Molinard(1979)

香りは、シプレ寄りのグリーン・フローラルで、この時代によくある香調なので、これでなければ、といった突出した個性がないかわりに、気兼ねなく楽しめるデイタイムの香りに仕上がっています。一番髣髴とするのは奇しくも同年発売のメタル(1979)ですが、ユニセックスでも行けるメタルよりは女性らしい面立ちです。よく超クラシックな香り、おばあちゃんの鏡台を思い出すといった口コミをみかけますが、それはクラシック香水に鼻が慣れていない人の意見で、クラシック香水好きからいえば、おばあちゃんの鏡台系は猛者がもっといますので、クラシック度はそれ程高くはありませんが、たしかに今となっては既に新しさもありません。

さすがは当初200ドル近くもお金を取ろうとしたコレクシオン版なので、冴えた印象もなく薄口であまり記憶に残らない現行通常版のモリナール・ド・モリナールよりは根性があり、解像度はぐっと高め。ブーケとして感じるジャスミン、ナルシス、ローズ、イランイラン等のフローラルが生々しく肌の上で花開き、ベースにしっかりモスがあるので、 浮わつかず肌になじみます。通常版では断り書きのない「グラース産ジャスミン」「ローズドメ」が印籠の様に燦然と輝きますが、最終的にはやっぱり「これでなければ」という印象が残らないのが残念です。同じ事務所(?)のアバニタには、追い払ってもついてくるような迫力と強烈な存在感を感じますが、性格もよく器量よしなのにあと一歩の個性がないため、いい線までいくのにいつも良縁がまとまらない、年齢の進んだ女性の様な雰囲気です。俗な言い方をすれば「好みだし、下さるなら喜んで使わせていただくが、お金を払ってまで手に入れようとは思わない」そういう存在が、エム・ド・モリナールです。

 

参考までに、1849コレクションのアバニタ一式。香りごとにテーマカラーがあり、アバニタは黒、エム・ド・モリナールは同じデザインでパッケージ色は赤。