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La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

How to Wear Your Favourite Perfumes chapter 2

06. How to

何をどれくらい、どのようにつけたらよいか

How to Wear Your Favourite Perfumes - LPT's Method

 

香水関連の書籍には、初心者向けにたいがい「体の何処にどの位香水をつけるか」が載っています。また、各ブランドのパンフレットなどにも、たいてい記載されています。一番多いのはうなじ、手首、耳の裏ですが、私は通常、そのいずれにもつけません。理由は、顔に近い所に香水をつけると、体調によっては疲れるからと、香水が持つ香りの拡散層の、より中核部に近い所を恒常的にかぐ事になり、香調によってはその香水の良さが分からない場合があること、そして、自分の顔の高さでその香りを常に香ると感じたら、自分と対面する方にとっても顔の位置で香るわけで、場合によっては不愉快な思いをさせかねないからです。

 では、何処にどの位つけているかというと、その香りの強さにもよりますが、

オーデコロン…全身に、浴びるようにスプレィする
オードトワレ…8〜12プッシュ:[内腿⇒ウエスト⇒膝の裏⇒肘の裏⇒足首⇒手首]×左右 の順
オードパルファン…4〜6プッシュ:[内腿⇒ウエスト⇒膝の裏]×左右 の順
パルファン…2〜4ポイント:[内腿⇒ウエスト]×左右 の順

つける場所は、優先順位順に記載しています。初めて使う香りの場合、強さが分からないので、この優先順位の上位から増やしていきます。また、基本的に香りはすべてスプレィ式のボトルか、フラコンの場合はアトマイザーに移して、ミストにして使います。そのほうが美しく感じる香りが多いと体感的に経験しています。5番など、クラシック香水のパルファンによっては、ミストにせず直接液体で肌を濡らすほうがよりクラシック感が楽しめるものもあります。肌からアルコールが飛んでから下着、衣服を身に着けます。

 香水は、本来肌から立ち上る香気を吸うものです。匂いに鼻を近づけて嗅ぐものではありません。鼻に近づけた時にとてもつけこなせない、と思うような香りでも、立ち上ってくる、肌から数十センチ離れた場所の「香気」は、それは心地よく感じる事はままあります。地球をイメージして、マグマやマントラの部分を嗅ぐのではなく、表面に漂う海のさざなみや、海の上に浮かぶ雲を楽しむものです。ただし、それは「良い」香水の場合であって、昨今の「軽くて、うすくて、きつい」層のないリニアな香りでは、その限りではないかもしれません。

 良く出来たパルファンは、体から染み出るように香ります。底力のあるものだと、真冬、たった2ポイントつけただけで肌から衣服を貫通し、ダウンコートの表面まで香ってきます。その人の周りを、芳しい雲が包んでいる、またはその人から香りの微振動が伝わってくる。それが、美しい「シャージ(仏:Sillage, 英:Vapour trail, 日:残り香)」というものです。このシャージが耳の裏から鼻へとダイレクトに伝わってきたら、確かに疲れます。

 また、香りは温まると、下から上へ昇ってきます。上半身だけにつけるより、下半身につけて、美しい「海」や芳しい「雲」を全身でほんのり感じる方が心地よく、また対面する方が香りに対して繊細でも、うなじや耳の裏につけてお互いマグマやマントラにのけぞる事もないと思います。

 一方例外もあって、「良い」香水でも上記のつけ方で衣服を着てしまうと、全く香らない「小声でささやき系」の香りもあります(例:Capricci/Nina Ricci,Calipso by Robert Piguet EDP、Julia, Meloe / Teo Cabanelなど)。その場合は、狙って一般的に言われる香りのポイントにつけて構わないと思います。ブランドでも推奨している場合がありますので、ブランドのウェブサイトなどがあれば、参考にするのも良いでしょう。まあ、大概「オードトワレ/オードパルファンは全身にたっぷりと、パルファンは単独で、またはEDT/EDPをつけた後、脈打つ場所に点々と」と、日本の常識よりはるかに多くの量をつけるよう記載されていますが。

 ちなみに「香り初心者・肌の弱い方はコットンに含ませた香りを胸の谷間に挟んで」とは、良く見かける記述ですが、これは経験上大変危険です。胸の谷間は体幹の中心であり、鼻や口と同軸線上にありますので、呼吸のたびに胸から湧き上がる香りをかなり近い距離で吸い続ける事になり、ただでさえ香りに弱い人が、これではますます香り酔いする羽目になります。香りに弱い方は、ウエストだけにするか(内腿だけでも良いですが、体幹の中心に近いので、ウエストからはじめる方が良いでしょう)、膝の裏+足首だけにして、自分が動くたびに香気が上がるようにすれば、よほど相性の悪い香りでなければ酔わないと思います。
肌の弱い方は、洗える下着のすそにスプレィするか、コットンにスプレィしてボトムズのポケット(くれぐれも胸ポケットには入れないように)に入れるのがよいと思いますが、下着につける場合は肌に直接つけた場合よりも香りの滞留時間が長くなり、初めて使う香りで相性が悪いと「洗い流す」という逃げ場がなくなってしまいますので、その点はご留意下さい。
今つけている香りがきつくて使えない、または物足りない、という時、一度お試し下さい。香り方が変わってくると思います。

宇治の紫式部みたいに重ね着が半端ない時は、流石に手首とかうなじに点けたら、とお伝えします。