La Parfumerie Tanu

- The Olfactory Amphitheatre -

- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

無断転載禁止

The World of Perfumed Soaps 2. Domestic companies

★化粧品会社の香水石鹸を楽しむ

 

1)日本の化粧品会社

 

  • 資生堂 花椿石鹸

普及版(N) 110gx3個入 630円から

復刻版(C) 110gx3個入 945円から

 

日本を代表する化粧品メーカー、資生堂が1917年(大正6年)から発売し、一度も廃盤とせずに細々と生産している香水石鹸です。幾度かリニューアルを重ね1975年の現行規格となってから大正15年当時のデザインを復刻し、石鹸を包装紙で手包みした貼り箱入りのものと、普及版パッケージ(とはいえ往年の資生堂らしい花椿の意匠)があります。フローラル・ブーケの香りと記されていますが、軽い香りが主流の今となっては、かなり重さのあるオリエンタルに近いディープでクラシックなフローラルで、冠した名の花椿としてはありえない、発売当時から変わらぬ深紫色の生地色が香りを物語っています。ちなみに、現在資生堂企業資料館で販売されている復刻版花椿(EDP)や、1987年花椿会感謝品の花椿(EDP)とは全く香りが全く異なり、重厚なクラシック感があります。普及版と復刻版は基本的に同じ香りですが、復刻版のほうがベースノートを強めてより深みのある香りに仕立ててあり、実際に使い比べても普及版のほうが多少さっぱりしていて、ようやくフローラル・ブーケなのかなと感じます。原材料を見ると、復刻版にはグリセリンが配合されており、香りの深さだけでなくお肌にもまろやかになっています。いずれも手ごろな3個入から、5・10・15個入(15個入は普及版のみ)あり。資生堂の化粧品店で販売される商品ですが、近年は在庫している店舗が激減し、デパートなどでもまず在庫していないうえ、資生堂オンラインショップ、ワタシプラスでも取り扱いがない、まさに絶滅危惧種のクラシック香水石鹸です。しかし、セブンアンドアイホールディングスのセブンネットショッピングでは復刻版・普及版ともに各サイズ常備、しかも値引きあり・送料無料の敷居が低い(1500円以上送料無料)という謎の充実振りに、現時点ではセブンネットショッピングが最強の購入窓口となっています。

 

セブンネットショッピング http://www.7netshopping.jp/

 

永久定番希望!!続けることが文化です

 

  • サヴォン・ド・タワラヤ

50g6個入1,365円、12個入2,415円
製造:松山油脂、発売元:花王

 

本来は京都の老舗旅館、俵屋の1アメニティとして俵屋と花王が共同開発し、松山油脂が製造した石鹸があまりに評判が良く、採算度外視で高級原料を使用したため量産が出来ず、俵屋旅館のアメニティを販売するショップギャラリー遊形での販売のみという、販路限定の香水石鹸です。日本の浴用石鹸としては群を抜いて香料の配合率が高いのか、浴室内での香気だけでなく、浴室に残る残り香までもが芳しい、複雑で完成度の高い深淵な「和」のフローラル・シプレで、天然香料をふんだんに使い、ベルガモットの苦味、ローズ・サンダルウッド・ジャスミンの甘味、パチュリやラブダナムなどの辛味、ラベンダーの青み、ムスクやサンダルウッドの深み・・・ひとの五感に訴えかけるような味わいを備えた香調は、この香りの香水が欲しい、と何度願ったかわからない程です。50gというゲストサイズも、この香りがふくよかなうちに使いきれるジャストな分量で、かつ生地が柔らかく溶け崩れやすいので、毎日使えば数週間も持ちません。超高級旅館のアメニティとしては非常に値頃なので、唯一の販売窓口であるギャラリー遊形は観光スポットとしても要所の京都市役所周辺にあり、京都旅行に行かれる方に「漬物は要らないから」とお土産としておねだりしても、まず縁を切られる事はないでしょう。それも気が引けるという方には電話やファクスでの注文が出来ますので、是非どうぞ。

ギャラリー遊形

営業時間 10:00-19:00 
定休日 第1・第3火曜日(10、11月は無休)
〒804-8092京都市中京区寺町西入る姉大東町551
℡075-257-6880、Fax075-212-8020
(ホームページ、オンラインショップなし、京都の実店舗または電話・Fax注文のみ。)

 

  • ライオン Guest&Me ソープ

80gx3個入 1,890円(購入時値引きあり)

 

ライオンの法人向けノベルティ事業部が、糸井重里事務所と共同開発し、2002年より一般向けオンラインサイト販売および小ロット名入れ対応ノベルティ(粗品・記念品)をしている、香りに重点を置いた高級アメニティブランド、Guest&Me。石鹸は1種類のみ、こちらもサヴォン・ド・タワラヤと同じく、日本の石鹸では考えられない、通常の2倍量もの香料を投入しているので、包丁で易々とニューヨークチーズケーキのように切れてしまいます。香りはライオン自社調香、渾身の「モダン・カジュアル・シプレ」で、天然香料と合成香料を組合せ、タワラヤほど深淵な感じではなく、洗練された中にもう少し溌剌とした爽快感のあるユニセックスなシトラス・ウッディ寄りのフローラル・シプレで、ベルガモットとローズの爽やかさにヒノキの清涼感、伽羅やモスの引き締まったまろみが調和の手綱を握っています。イメージ的にはイグレックやジバンシィ・トロワに近い香調で、こちらも、この香りでトワレやタルクなどのバスラインを拡張して欲しいと願います。とても柔らかく、ボディタオルなどで使うとどんどん減りますので、80gといっても1ヶ月は持ちません。
3個入で1,890円と花椿石鹸やタワラヤに比べると価格は高めですが、オンラインサイトではWeb会員になると1,785円に、さらに定期購入では10%オフ+入浴剤などのサンプルプレゼントに加え、1点から送料無料とメーカー直販ならではのサービスが充実しています。全国のセレクトショップ、インテリアショップ等でも展開中、今回紹介の国産香水石鹸では最も入手容易。

 

Guest&Meオンラインショップ http://www.guestandme.com/

 

左から俵屋、Guest&Me

contact to LPT