La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

The World of Perfumed Soaps 1. introduction / perfumeries

The World of Perfumed Soaps

- 香水石鹸の世界 -

 

仕事の都合や家族の好みで、普段香水を使えないというお話を伺います。それだけ聞くと何とも寂しい話ですが、そんな時は是非、香水石鹸を一日の始まり、または一日の終わりにお楽しみ下さい。

香水と違って、数十分という限られた時間、ましてや体を洗う数分間、浴室という閉ざされた空間の中でただ一人(一人じゃなくても良いですが)、誰にも気兼ねなく、もうもうと立ち込める湯気にまみれた香気を、肺の奥まで胸いっぱい吸い込むひと時は、香水とは別格の愉悦とくつろぎをもたらします。そして泡と共に流れ去った香気のいくばくかは浴室と肌に残り、清潔な余韻を残します。
液状のボディソープと比べて泡切れが良く(特に海外品は欧米人の好みに合わせてヌルヌル感が残りやすい)、洗い上がりがすっきりしている点も、高温多湿な日本の入浴向きだと思います。ましてやクラシック香水ファンとしては、入浴は何といっても固形石鹸でしょう。
一つだけ注意したいことは、一般的な化粧石鹸と比較して、香水石鹸は香料の含有率が多いため、洗顔には不向きです。お肌の丈夫な方でも、お顔には念のため使い慣れた洗顔石鹸や洗顔料をお奨めします。
香水石鹸には大きく分けて、香水のバスラインとしてラインナップされているものと、もともと石鹸メーカーや化粧品メーカーがバス用品として出しているものがあります。前者は香水が主役、後者は石鹸が主役を張っている場合が多いです。

 

★香水のバスラインとしてラインナップされている香水石鹸を楽しむ

 

ここ数十年は、ボディソープが主流となった香水のバスラインですが、クラシック香水はまだまだ香水石鹸をラインナップしている香りもあります。かなり脇役なので、店頭でも前線に出ていることはありませんが、
その分、好きな香りに石鹸のラインナップを見つけた時の喜びはひとしおです。
石鹸は、大雑把にいうと油とアルカリ成分で出来ているため、この油の素材臭が作用して、どうしても香水と同じ香りにはなりません。価格から考えても、香水と同じ配合の香料が入っているわけではありませんので、もとの香りの記憶スケッチ程度の近似値ですが、そこはやはりラインのひとつですので、同じイメージの欠片がちりばめられた泡に包まれる喜びは格別です。
香水メーカーの中には、トイレタリーにも力を入れている場合、パルファン・ド・ニコライ、ランセなど、特定の香水のバスラインと並行して、シングルノートを中心とした石鹸単体のラインナップを別途持っている事もあります。

 

- 香水石鹸に力を入れている、または継続生産しているブランドと香り一例(国内未発売のものも含まれます)

 

・シャネル(5番、19番、ココ、アリュール、ココマドモアゼル)
⇒シャネルは香水石鹸としても王道。長年の歴史の中に石鹸もマイナーチェンジ幾年月。香水自体とは別物だが開封前からはみ出している香りの強さ、洗い上がりの香り持ち、石鹸をおろした後の保香性は他メーカーの群を抜いています。一方で、普通の石鹸には入ってこない原料が沢山添加されているので、お肌の弱い方は夏季限定にするなど少し注意が必要。各150g、2,625円(ココ以外)、3,150円(ココ)。

 

いずれも香水のトーンを基調に、トップノートの爽やかさを強調しているシャネルのサヴォン

 ・アムアージュ(ゴールド、ダイア、リフレクション)国内未発売
オマーン産高級フレグランスはバスラインも豊富だが、香水石鹸があるのは上記3種のみ。名匠ギィ・ロベール師作のゴールドは、石鹸もロベール師の志をとどめた丁寧な調香。香水がど迫力の割に、石鹸はやや控えめ。150g26ユーロから各サイズ有。

 

ディオール(ジャドール、ミス・ディオール(旧シェリー))
⇒戦後モードの立役者、ディオールは残念ながら準近作2点のみ。
各150g3,150円。


・ゲラン(シャリマー、アビルージュ)
⇒香りの王室も現在はレディス、メンズ1点ずつで、他は液状ボディソープの展開。日本ではシャリマーのみ発売、100g2,940円。

ニナリッチ(レールデュタン)国内未発売
⇒もはや大人の女性向けブランドではないからか、石鹸は往年のレール・デュタンのみ。100g14.5ポンド。

 

・ロジーヌ(20種の香り中主要14種)国内一部販売
⇒ロジーヌはEDP・キャンドル・香水石鹸が基本のライン。しかしどの香りもローズが主軸、果たして石鹸で香りの差別化が完遂されているか、全品お試しの方はご一報下さい。日本での発売はレディス3種(100g2,100円)、メンズ3種(紐付200g4,200円)に限定。

 

・パルファン・ド・ニコライ(香水のバスライン2種、シングルノート4種)国内未発売
⇒日本に代理店があるが石鹸は未発売。オーデテ、ローシックといったサマーフレグランスのバスラインとして香水石鹸が2種と、ローズ、サンダルウッド、セドラ(シトラス系)、ベチバーのシングルノート2種、各100g7ユーロと香水同様良心価格。うちローズはまるで生花に鼻を突っ込んだような酸味の強いフレッシュでナチュラルな薔薇香、サンダルウッドは一般的な男性用とは違い、非常に柔らかでパウダリーな甘さがあります。オーデテはフレッシュなグリーンシトラスで、いずれもニコライらしいよく練られた香り。

 

ニコライは石鹸も良心価格