La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

Chloe (1975) original version

Chloe (1975) original version

発売後日本でも大ブレイクし、後を続くドジョウが何匹生まれたかわからないクロエ(2008)ですが、こちらはそのオリジナル版です。リニューアル版は名前だけ踏襲した別物なので、ここでは取り上げません。

クロエは、カール・ラガーフェルドが服飾ブランド、クロエのデザイナーに就任していた際に発売した初のフレグランスで、当時としても大変な支持を得たようで、ジョー・メッシーナ作のストッパーにカラーリリーをあしらった特徴的なボトルは1975年のFIFIパッケージ賞を受賞しています。日本で今クロエといったら100%リニューアル版ですし、ラガーフェルド版はお若い方は見た事もないと思いますが、欧米では未だにクロエといえばこちらのラガーフェルド版が根強い人気で、親子で愛用している方も多く、メーカーも(現在はコティがライセンス取得)廃番にできずにいるようでアメリカのディスカウンターでは価格も3.0oz(90ml)で30ドルもせず手に入ることから、値頃な身の丈の定番となっているようです。

年代的には70年代後半から80年代前半までを彩る男子禁制・純潔系フローラルで、後続の同類項としてはアナイス・アナイス(1979)、次いでルミエール(1984)があげられます。いずれも21世紀も11年を過ぎた昨今では、この手の蒼白なソフトフォーカス感が持ち味のフローラルは絶滅危惧種となっています。

主軸はチュベローズで、ヒヤシンスやナルシスといった球根系やハニーサックルやイランイランなど甘口で濃厚な花々がびしっとオークモスに支えられ、この「一つまみの沈着」のお陰で甘さだけに走らず良くまとまっています。このオークモスについて、海外の香水サイトでは時折DIVINE/DIVINE(1986)と比較されているので興味を持ちましたが、モッシーなチュベローズという一場面においては遠い親戚と言えなくもないですが、DIVINEには圧倒的な正装感がある一方で、クロエは安心感のある親しみ易さが心地よく、幅広い年代・場面で気兼ねなく愛される香りといえましょう。

廃番のパルファムのほうがよりオークモスの存在を体感でき、現行EDTはより単純明快な親しみ易さが強調され、立ち上がりにヘディオンのような美しくきりっとした青さも楽しめます。香り持ちがよいのも海外で支持される主因の一つです。

個人的には、この手の香りは物心ついた時に取り囲まれていたので、クラシックというよりは懐かしい、と表現したいところです。

 

クロエといったら、こっちでしょう