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J'Adore L'Or essence de parfum (2010)

J'Adore L'Or essence de parfum (2010)

初出の好評を受けてディオールらしく二匹目、三匹目のドジョウが次々と生まれたジャドール(1998)ですが、オリジナルのジャドールをより高級な天然香料(アブソリュート)主体に再構築したEDP版ジャドール・アブソリュ、EDT版ジャドール、EDC版ジャドール・オーと時流に合わせてどんどんライトバージョンになっていくかと思いきや、ベクトルを180度変え、突如ジャドールシリーズで最も濃厚かつクラシックなバージョン、ジャドール・ロー・エッセンスドゥパルファムが発売されました。日本でも2010年、2011年秋冬に限定発売されましたが、2012年は”シェリー”の「ミス・ディオール」襲名の影響か日本では発売されず、本年2年ぶりに秋冬限定で店頭に並びました。ディオールとしては、ジャドールシリーズはターゲットが30代以上の女性らしく、ディオールの近作の中では対象年齢が高めです。調香は、古くはティファニー(1987)やリニューアル版ソワールドパリ(1992)を手がけ、現在はディオール専属調香師としてミス・ディオール(旧シェリー)やヒプノティック・プワゾンをはじめとする、ディオールにおける近年のヒット作を次々に生み出したフランソワ・デュマシーです。

ジャドールは基本形がローズを主軸としたジャスミン・チュベローズの王道フローラル・ブーケで、そこからネロリやマンダリンなど爽やか系がトッピングされたり(EDT)、天然香料にしたり(アブソリュ)、主軸自体がマグノリアなど違う花になったり(EDC)しており、各々が単なる濃度違いではない個性に仕上がっていますが、ジャドール・ローの場合は、上記の基本3傑に果てしなくクリーミーでスムーズなバニラとトンカビーンをベースにどーんとしつらえ、体温と重なると温熱肌着でも1枚合わせたかのような暖かみを感じるホカロン系の得も言われぬ濃厚なフローラルとなっています。きんとんでいったら、基本形は機械練り、アブソリュは手で裏ごし、ジャドール・ローは馬毛・木枠で3度こし。生クリームでいったら基本形は5部だて、アブソリュは7部だて、ジャドール・ローはあともう少しでバターになる、すんでの所で角立ち。ドジョウはドジョウでも名前通り金のドジョウ、デパートの化粧品売り場で買えるメジャー系の新作で、ボトルテスターで立ち止まりムエットでつけて肌にもつけたくなり、ボトルまで欲しくなり、遂に購入に至ったのは、近年ジャドール・ローと24ファブールEDP(エルメス)位です。香り持ちは、やはり名前の通りパルファムに近い濃度で、体温による拡散力が高いので、立ち上がりの青味を帯びたフレッシュなローズから甘くクリーミーなオリエンタル調のバニラフローラルに至るまで、終日華やかに展開します。つけ心地がとにかく暖かいので、個人的には購入時秋冬の最多ヘビーローテーションとなりました。

デパート系の新作はどうしても若作りで面白みに欠ける中、最近の香りも捨てたものではないな、と本気で頷けた、クラシック香水ファンも納得の逸品ですので、もし成田など国内空港の免税店などにお立ち寄りの機会がありましたら、ぜひテスターだけでもお試しいただきたいと思います。

  ジャドール・ロー エッセンスドゥパルファム