La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

Puredistance, Master Perfumes

 

3.厳選モダンクラシック香水紹介

The Essential Guide to Modern Classic Perfumes

 

 

Puredistance, Master Perfumes

1990年代前半から、一般市場向けの新作香水はパルファム濃度が作られず、オードパルファム1種またはEDP/EDTからスタートし、人気が出たらより軽くフレッシュな処方のものを出す、といった手法が当たり前になって早20年、それ以前から生き長らえているロングセラー品でも、大概の場合パルファムが廃番になっていて、クラシック香水ファンのパルファム崇拝がたぎらす火に油を注ぐ事も久しいのですが、鬼火のような渇望が天に届いたのか、最近ではニッチフレグランスを中心に、パルファムをきちんとラインナップしているブランド(Amouage, Ormonde Jayne, Vero Profumo等)や、人気が出たらパルファムを出すブランド(Parfums Divine等)が増えてきました。その中で、当初から香料濃度25%-32%という、パルファムとしても濃厚な作品しか作らないのが信条とした、オランダはフローニンゲンを拠点とするハイエンドなニッチ・ブランド、ピュアディスタンスは、2002年の創立から構想4年、2007年の初出から6年経つ今もその姿勢を変えず、初出から3年後2種(レディス、メンズ各1種)、昨年レディスを1種、本年2013年12月に初のユニセックス系香水、ブラックを発売するだけというスローペースで駒を進めています。

 

創業者、ヤン・エワルト・フォス氏。公式ウェブサイトには創業者の写真が商品写真と同じくらい載っている

1993年から2000年まで、デジタルストックフォトブランド、John Foxx Images (英エレポップのジョン・フォックスとは無関係で、お名前のヤン・フォスを英語に綴るとジョン・フォックスになるそうです)の創業経営者であったヤン・エワルト・フォス氏が、同社を売却後、よりクリエイティヴかつ静的な映像表現を追求、自身のウェブサイトを立ち上げるとともに、ピュアディスタンスのクリエイティヴ・ディレクターとしてブランドを創業。そういわれてみると、PDのウェブサイトは香水会社のそれというよりは、広告代理店のプレゼンでも見ているかのように、クオリティの高いスチル写真が、香りのイメージとしてこれでもかと収録されています。香りの説明に至っては、別途PDFファイルで添付と、動画もあり、まるでプレゼン(笑)オンラインショップも併設していますが、ニッチ系自社通販のご多分に漏れず、地域別に送料込価格が分けられていて割高になっているので、購入を検討するなら送料も別建てで、希望サンプルもくれて、免税にもなるところもある他国の通販サイトの方が、圧倒的に割安感がありますが、PDの強気なところは「いかなる理由でも、お気に召さなかった場合は100%返金いたします」とのたもうているところで、試香なしで勝負をかけるなら公式サイトでの購入が安心でしょう。

フォス氏はディレクターとして、イギリスとアメリカより名調香師を起用したのがPDのもう一つのウリですが、何故フランスからでなかったのかも不思議です。レディスはプレジャーズ(1995)やトミー、ヴィクトリアズ・シークレットの各種シリーズなどアメリカのメジャー・ファッションフレグランスを数多く手掛けているアニー・ブザンティアン、メンズはLPTではお馴染みのロジャ・ダヴが担当、当然ハイエンドなニッチハウスはどこでもそういいますが、最高級の香料を妥協なく使用しています。香りとしては「真の高級感とタイムレスなエレガンス」を堂々旗印に掲げているので、奇をてらわず流行を追わず、かつ懐古に走らず…といった所ですが、どちらかというとパルファムという性質上、懐古寄りの定番系になるものの、21世紀という現代を起点にしたタイムレスなので、初出のレディス2点は15年〜20年前に大流行したシアーフローラルに帰結する香りだったりして、今の一般的な香水の購買層が想起する、体験を基にしたタイムレスというとこの辺なのかな、と普段懐古上等、世の中に背を向けてクラシック香水に没入している私には新鮮な気づきでした。

扱う香りがすべてパルファムなので、価格があがってしまうのは致し方ないのですが、ボトルサイズが17.5ml・60ml・100mlという、大中小の展開が急な3サイズで、17.5mlでも198ユーロ、100mlサイズに至っては、公式サイトから買おうものなら堂々590ユーロ。ボトルはどちらもアトマイザー型ですが、小は試験官をイメージしていて、実際サイトでは試験官立てを模したボトルスタンドも販売されています。しかし問題は大・中サイズで、どうみても育毛剤のボトルです。いずれも携帯カバーや皮ケースが付属、ボトルは布団を敷いたような豪華ボックスに横たわっています。オプションとして各種豪華ボトルケースがあり、皮ケース69ユーロというのはまだ理解できますが、「結婚式の記念品とかに使って欲しい」(創業者談)クリスタルのアトマイザーケース1590ユーロ、クリスタルとゴールドのコンビで2190ユーロ…と、MDCIの頭もびっくりな価格設定に、「ピュアディスタンスの香りをまとう、それは世界でもっとも特別な香りをまとう事に他なりません…」と、頼まずして頬にかかる熱い鼻息を感じずにはいられません。こういう路線の人達に常々声を大にして言いたいですが、ボトルはシンプル、容量は適量、価格は適正でお願いします。

続いて、12月3日の世界発売を記念して、新作ブラックとピュアディスタンス既出4種の再紹介です。