La Parfumerie Tanu

- The Olfactory Amphitheatre -

- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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Period B: Mid to Post War (1940-1950)

 

Period B: Mid to Post War (1940-1950)

 

Antilope (1945)

フランスの毛皮商、ヴェイユが1945年に発売した、アンティロープのオリジナル版オーデコロンです。日本では既に販売のないブランドですが、1920年代から40年代にかけて’ズィブリーヌ’’セクレ・ド・ヴィーナス’などが人気を博し、海外ではアンティークボトルが現在も高値で出回っているような、コレクターズ・アイテムのブランドです。
「カモシカの皮」の名を持つ香りは、ややオリエンタルな風情のフローラル・アルデヒドですが、ネロリやカモミールがトップに来るからか、かなり穏やかで、アルデヒドもあまり主張しません。パチョリやアイリスがベールにある割には香りもそれほど持続しないので、クラシックで上品な香りをつけてみたいけれど、どっしりこられても重すぎて…という方にはお勧めです。ちなみにリニューアルのアンティロープは、現代的な解釈が加えられ、精彩を欠いています。地味な存在ながら、欧米のアルデヒド好きな方の間では名前が頻発する香りなので、ヴィンテージがありましたら是非一度お試し下さい!

アンテロープ オリジナル版EDC

Le Dix (1947)

フランスクチュリエの最高峰であり、後続デザイナーに影響を与え続けたバレンシアガが初めて発売した香水、ルディスです。調香はレールデュタン(1948)、バガリ(1950)、ランテルディ(1957)、カプリッチ(1961)を輩出したフレンチシックの雄、フランソワ・ファブロンで、彼の作品の中でもとりわけ穏やかで、オリスやバイオレットが織りなすシッカロールのような香気をアルデヒドがほわほわとリフトする、パウダリックなフローラルアルデヒドです。折しもルディスの発売は1947年であり、第二次大戦後の荒廃した心と体を優しく解きほぐすような安心感に満ちた香りです。
残念ながらバレンシアガ・パリ(2010)の発売前に、バレンシアガの過去の作品はすべて廃番となってしまい、ルディスもほぼデッドストック品を見かけなくなりました。最終流通品とヴィンテージは殆ど同じ感触で、大事に作り続けられていた事がわかります。ヴィンテージのパルファムはパウダリックな中にニトロムスクがしっかりと香り、トワレ、コロンはパルファムを主軸にベースがライトになっていく香調で、いずれもそれほど香りもちはしない
ので、出物がありましたらお好きな軽さのものをお試し下さい。

ルディス 各濃度(1960-70年代)

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