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無断転載禁止

British perfume shops have stopped dispatching perfumes outside UK since Jan 2013

2013年1月より、イギリス郵便(RoyalMail)の国際郵便規約が変更になり、
香水は引火性危険物と見なされることになり、発送を禁止されました。
これは9.11後、世界的な時流なので、致し方ないのですが、イギリス郵便は
昨年6月に約20%の値上をしたばかりで、料金は上がるわ制限は厳しくなるわで、
これまでニッチ系フレグランスを世界対応で発送する事によって、新しい香りを
紹介し、世界にルートを繋げるショップという存在以上の役割を担ってきた
イギリスのオンラインショップが次々に香水の国際発送を中止しました。
近年、イギリスのフレグランスが面白いのと、VAT(付加価値税)免税、送料
無料など、各自サービスの良い所が多かったので、LPTとしては打撃が大きいです。

主なところでは

・Les Senteurs(ロンドン)
・Escentuals(カーディフ
・Beautique/Urban Retreat(ロンドン)

ルサンティールは1980年代、ロンドンの中心部に開業したメゾン系としては老舗店で、
イギリスにおけるエスパス・キャロン(特約店)全4件のうちの一つです。
(補足:全4件とは…1)ロジャ・ダヴ・オートパフューマリー 2)ハロッズ香水売場
3)フォーロナム&メイソン 4)ルサンティール、です。すべてロンドンに集中して
おり、何故かハロッズでは1階(香水売場)と6階(ロジャ店)の2か所で取扱いあり。
蛇足ですがフォルテが銀座三越に出店しているキャロン売り場は、エスパス・キャロン
には数えられておらず、日本での販売拠点なし、という事になっています)
パルファン・フォンテーヌのサモワール(量り売り)こそありませんが、アナヴィオンや
タバブロンなど、他店舗では取扱いの無かったフォンテーヌ系のEDPをいち早くフルに
ラインナップした店でもあります。
サンプルサービス(結構盛りの良い2mlセントチューブに小分けしてくれる。価格も
1個あたり3〜5ポンドと良心的だった)もしていて、定価販売が基本のメゾン
フレグランスのお試しには非常に心強いショップで、かつ海外へはVATも免税にして
くれるので、送料はかかるものの商品代金は自動的に約15%オフとなる、頼れる
ショップだっただけに残念です。

イーセンチュアルは地元カーディフに実店舗を構える薬局が2000年に開業した、
品揃え豊富なオンラインショップで(イギリスの地方都市では、イーセンチュアルの
ように、それこそ薬草の調合を店内でやっていたような薬局が高級化粧品の販売店を
兼ねている場合が多く、薬品庫の引出しに並んでシャネルの各種フレグランスがずらっと
並んでいる店を、昨春湯治場で有名なバクストンで見つけました)ファッション
フレグランス系からグランパルファン、メゾンフレグランスと守備範囲が広く、適度に
ディスカウントされている時もあり、VAT値引はないものの、実重量2キロまでは送料が
一律9.5ポンドと良心的だったのと、時折10%〜15%引きセールも行っていたため、
ロジェガレやクラブツリー&イヴリンなどの香水石鹸を交えて、重量ぎりぎりまで
お店泣かせに注文したのが懐かしく思いだされます。パルファムの取扱いも充実していて、
ここで最後に購入したのは昨年末、ファーストのパルファムでしたが、あの時24フォーブルの
パルファムも買っておけばよかったな、と悔やむことしきりです。

ビューティック(アーバンリトリート)は、ハロッズにも出店している高級化粧品
チェーン店のオンラインショップですが、ここは高確率でハロッズのオンラインショップ
(英国外への香水発送なし)とラインナップが重複するので、ロジャ・パルファムの
取扱いもあり、ロジャ・パルファム公式サイトが通販を一時中止していた時期で唯一
海外から購入できるショップで、しかも時々5〜15%オフクーポンの配布、100ポンド
以上は送料無料、VAT値引はないが化粧品店ならではのオリジナルエコバッグや山盛り
サンプルプレゼントでお得感が高かったお店でした。頼むとムエットでテスターを
送ってもくれて、結構個別対応も良かったところなので、こちらも残念です。

また、自社サイトで直販しているイギリスのブランドにも影響が出ていて、例えば
オーモンド・ジェイン(ロンドン)は、クーリエ(国際宅配便)に切替え、発送自体は
継続していますが、海外向けは9ポンドだった送料が29ポンドと大幅に値上がりしました
(ただし、サンプルセットやパーススプレーなど、1ボトル50ml以下の商品や香水以外に
ついては、以前の送料で対応との事)。これまで、定期的に「国際送料無料キャン
ペーン」を行って、海外のユーザーを掴んできたオーモンド・ジェインとしては、
手痛い所だと思います。イギリスでは母の日が日本と違い3月なのですが、通常だと
こういうかき入れ時は送料無料キャンペーンを出してくるのですが、きっちり
「イギリス国内送料無料」に留まっています。
一方、最初から郵便での発送ではなく、クーリエを使用しているロジャ・パルファム
(ブライトン)の様なところは、今の所特段影響なく注文を受け付けています(ロジャ
通販の日本向け国際送料は30ポンド)。さすがはダイヤモンドボカン、もともと高め
設定なので余裕です。

というわけで、今後さらなる改正がない限り、ここ日本にいながら、イギリスより
日本上陸前のメゾンフレグランスや日本未発売品を良心的な価格と送料で買える時代は
再来しないと思われますので、あとはドイツやオランダ、北米のショップがどこまで
この国際的な流れに負けず持ち堪えられるかひたすら祈るのと、実際の所ショップに
とっては重大な営業妨害なはずですので、早急な代替策が見つかる事を願うばかりです。

 

 

 

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