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La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

Siras des Indes(2006)

02-4. Classic Jean Patou 09. Affordable

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 シラデザンド EDP

 

ジャン・パトウの最新作、シラデザンドです。日本でも発売当時はブルーベル・ジャパンが全ライン取り扱っていたのですが、ジョイやミルに比べて対象年齢が比較的若いにも関わらず、法外な価格設定により玉砕したのか、結局の所日本の顧客はジョイとミル以外知ろうとしなかったのか、あっという間に取扱いがなくなってしまいました。2006年の作品ながら、しっかりとパルファムも作られバスラインも揃っています。
ちなみに、ジャン・パトウの一般流通品としての現行品は

・ジョイ ・ミル ・スブリーム ・エンジョイ ・シラデザンド

以上5点となり、その他並行輸入品店や海外通販などで見られるものは過去のデッドストックです。

調香は1998年名匠ジャン・ケルレオより継承した4代目専属調香師、ジャン・ミシェル・デュリエスで、2009年よりロシャスの専属も兼任しています。
香りとしては、公式サイトではオリエンタル・グルマンとありますが、その二つの香調から一段ずつ明るく、体感的にはしっかりしたフルーティ・フローラルと言う方がしっくり来ます。最近の香りにしては薄くもきつくも軽くもなく、しっかりと肌になじみ、動きに合わせて湧くように香ります。デュリエスの好物であるバナナミルクシェイクにインスパイアされたミルキーなバナナアコードにのって、甘いチャンパカフラワーが梨やベルガモットのビターなフルーツとともに花開きながら、バニラやサンダルウッドが暖かく包みます。
南国イメージが付きまとうシラデザンドですが、さすがはジャン・パトウ、天然香料を多種使用しているからか、開放的というよりは植物の持つ力に緊張感をほぐされ、素直でとても寛げる香りで、案外派手さはありません。
雰囲気的にはピゲのVISAから暗く、少し意地悪な部分(若干のレザーシプレ感)を抜いて素直にした感じに近いので、VISAがお好きならこちらも気に入って頂けると思います。ちなみにVISAは衣類に残り香がつき中々抜けませんが、シラデザンドは自然に抜けていきます。

パルファムはフルーツや花の持つ渋味や雑味もアクセントにした穏かな香り立ちな一方でオードパルファムはもっとシンプルで明るいフルーティ・フローラルで、それぞれに良さがあり、香り持ちも同じ位なので、好みでお選びになると良いと思います。余談ですがEDPの香調は男性に大変好評で、わっと声を上げられたこともあります。その辺はもっとブルーベルも単純に売り文句にすれば多少は売上に貢献したかもしれないですが、時既に遅しです。
お若い方もリニアに香る合成臭たっぷりのシアーな香りではなく、この位良い物をお付けになったほうが、一緒に過ごす殿方の嗅覚も磨かれて良いのではないでしょうか。

2001年、P&Gに買収されたジャン・パトウは、ゆっくりとしたペースながら新作を発表していますが、既に一般流通品の最新作であるシラデザンドの発売より5年も経過しており、自社農園を維持し、屋台骨であるジョイとミルの品質を厳重に管理しつつ、パリの本店でオーダーメイドの香水を受注生産するという「守り」の姿勢で生きながらえているのか、それがP&Gの方針なのかは分かりませんが、かつての勢いを求めるのは見果てぬ夢といえましょう。

《2011.9.30》

2011年6月30日付で、イギリスの香水製造及代理店であるSAデザイナー・パルファムズは、ジャン・パトゥのライセンスをP&Gから買収、10年にわたるP&Gのライセンスは幕を閉じました。SAデザイナー・パルファムズはエージェント・プロヴォケーター、ジャン・ルイ・シェレル、ウォルト等のライセンスも保有していますが、ここにジャン・パトゥが合流してきた事はライセンス会社の格上げなのか、ジャン・パトゥの更なる都落ちなのかはこの会社からジャン・パトゥの新作が発売された時か、現行品5点(ジョイ、ミル、スブリーム、エンジョイ、シラデザンド)の香りに変化が出た時に明らかになるのかと思うと、いかんともしがたい気持ちになります。

first post : 30 Sep 2011

 

追記 Mar.2016

この投稿からはや5年、SAデザイナーズ・パルファムズがジャン・パトゥをP&G時代のファッションフレグランス扱いから一気にメゾン系へと底上げすべく、買収時現行品だった5点からP&G時代の2作品を全部廃番にし、ジョイ、ミル、スブリーム(日本では2016年2月に限定販売)の3点に集約したのち新作は買収記念に専属調香師が作ったジョイ・フォーエヴァー(2013)のみ、あとはひたすら過去のアーカイヴから販路限定で復刻するという復刻ブランドビジネスモデルの定番メソッドに従って頑張っているのは周知のとおりです。シラデザンドも廃番から5年、そろそろデッドストックの流通も細くなってきて、ここ半年でパルファムは見かけなくなりました。売っていたら二束三文なので、やはりこれもヴァンクリーフ(1993)と同じく、アフォーダブル系の仲間入りですが、そういつまでもないと思いますのでご用心。