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La Parfumerie Tanu

The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes

150 Parfum (2011)

03. Modern Classic 13. Tour de Nederland
イタリアの地図で言うとロングブーツの膝頭あたりに位置し、トスカーナ地方のティレニア海に面するフォルテ・デイ・マルミの瀟洒なマリンリゾート、ベルシリアにエンツォ・トッレ氏が2007年に創業したメゾン・フレグランス・ブランド、プロフーミ・デル・フォルテは、トッレ氏のアトリエ、パフューム・アトリエ・トッレで作られる、伝統的な香水作りに忠実な作風の職人気質なブランドです。ブランド自体も大々的にプロモーションを行わないので、日本では殆ど紹介される機会もありませんが、奇を衒わず誰もが心を解きほぐす普遍的な香水とホームフレグランスを、マリンリゾートならではの開放的な解釈で作っています。調香師についても売りにする様子もなく、ベルトラン・ドシュフュールが手掛けたもの以外は公表はしていませんが、イタリアでは信頼厚く、自らもオーナー調香師であるマリア・カンディダ・ジェンティーレがレギュラーベースで担当しており、今回ご紹介する150パルファムも彼女が手掛けています。
 

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150パルファム EDP 100ml キャップはトスカーナ地方特産の大理石、ずっしり

 
150パルファムは、2011年のイタリア統一150周年を祝して作られた香りですが、イタリアを香りで象徴するならば、香調はイタリアの人々が愛してやまぬ、間違いのないタルコ系におのずと決まってくるのが自然な流れで、この150パルファムも迷いのない直球タルコ系なパウダリーノートで、同じくイタリアの超ベストセラーでこちらもタルコ系のロレンツォ・ヴィロレーシのタンドネージュとは、例えばカキの名産は宮城と広島、ワカメは三陸と鳴門が特産地…と、同じカキやワカメでもそれぞれに極上の味わいがあるのと同じで、タンドネージュはフィレンツェ、プロフーミ・デル・フォルテはフォルテ・デイ・マルミ、と産地の違いがあるだけで、どちらも極上の味わいです。特に真綿のような白雪の中心に紅梅色の色彩を感じるローズムスクの表情が楽しめるタンドネージュと比べ、150はミドル以降の展開に雄大かつ包容力を感じるウッディムスクよりのパウダリーノートで、トップノートのベルガモットやオレンジはさほど顔を出さず、ほどなくサンダルウッドやシダー、アンバーバニラとパチュリでふんふんとパウダリーに変化し、そこに時折アニマリックなムスクが立ち上がり、リアルな生命力を感じます。一貫して白から象牙色の潔さと、その中にも優しく心を解きほぐしていく寛ぎの乾いた風が吹き、この、自分の背後から抜けていく風の香りが素晴らしく、つけ飽きません。大変女性らしい香調ではありますが、男性がつけても上質なグルーミング製品で身なりを整えた「上品な殿方」のように香り、プールアンノム(キャロン)のラストノートにも通じるものがあるので、男性にもおすすめです。
オードパルファム1濃度、100mlワンサイズ展開ですが、イタリアのフレグランスらしく底力があり、体感的にはパルファムに準じる持続と奥行があるので、下半身に2,3プッシュ程度で充分全身に香りの雲がいきわたり、一日中楽しめます。100ml195ユーロとメゾンフレグランス相応の価格帯ですが、1本あればかなり長持ちするので、もし手元に1本タルコ系が欲しい、という時、ベルエポックのノスタルジックなムードにフォーカスするタンドネージュとはまた違う、堂々とした魅力がお奨めです。
 
今回、長年の夢だったリアンヌ・ティオ・パルファム訪問が叶い、訪問したら記念に何か1本選んでいただこうと前々から決めていたのですが、経験豊富なリアンヌさんが鼻で選ぶ1本は何か、非常に楽しみでした。せっかく来たので、何か私に似合う香りを1本選んでいただきたいのですが、できれば日本でまだ紹介されていないブランドで、アフォーダブルなものをお願いします、とお願いしたところ「195ユーロはアフォーダブルかしら?ホホホ」と即断でチョイスしてくれたのが150パルファムでした。お店イチオシのクライヴ・クリスチャンを勧められたら瞬間予算オーバーだな…と内心ヒヤヒヤしましたが、ギリギリ想定内(笑)これまでのやり取りや購入したもので、クラシックなものが好きだとは把握してくれていたはずですが、イタリア直球タルコ系を選んでくれるとは、照準の鋭さに脱帽でした。選んでいただいて本当によかったです。
 
ちなみに、リアンヌ・ティオ・パルファムの黒一点で、ラテン系イケメン男性店員・Myth君イチオシのお奨めは、同じくプロフーミ・デル・フォルテのプリマ・ルジャーダ(朝露に濡れて)というユニセックス系グリーン・フローラル・シプレ(調香:B・ドシュフュール)で「つけ始めはとてもリフレッシュできるハーバルな香りなんだけど、徐々に優しい甘さも出てくる、バランスのいい香りだよ。これも君に似合うと思うよ。僕も大好きなんだ」-普段の生活であまり見慣れていないMyth君みたいなイケメン店員さんが「いい香り 君に似合うよ 僕も好き」という、難しいトークはゼロ、究極の川柳みたいに勧めてくれたら、触れずとも財布のヒモがパァァァーッと開くご婦人も多いのではないでしょうか、ある意味この人もリーサルウェポン級のプロかも(笑)私はさすがに2本も買うと帰国後の経済生活に暗い余殃を残すので150パルファムだけにしましたが、確かにこれも150パルファムと同じく「風」を感じるナチュラルな、寛ぎながらも気持ちの立ち上がる良い香りで、プロフーミ・デル・フォルテから選ぶなら、彼のお奨めでなくても次はこれかな、と思ったほどでした。
 
150 Parfum by Profumi del Forte EDP 100 ml 195 euros