La Parfumerie Tanu

- The Olfactory Amphitheatre -

- The Essential Guide to Classic and Modern Classic Perfumes -

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Monsieur de Givenchy(1959)

立ち上がり:柑橘系の香りに少しスパイシーな感じもあり。良い感じですな
 
昼:もうほとんど香らない。肌に鼻近づけると判るけど既につけていたことを忘れている
 
15時位:あれ?私何かつけてたっけ?ここまで消えてしまうのは私の体臭がきついからなのか?いや、そんな筈はない!
 
夕方:忘却の彼方。良い香りなんですけどね。
 
ポラロイドに映ったのは:デビュー作が評論家に絶賛されるもそれ以降「悪くないんだけどねー」と言われ続けていつの間にか誰も気にしなくなって消えてしまうスコットランド出身のギターバンド(特定のバンドを指してるわけではありません)
 
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ムッシュ・ジバンシィ 2007ミシーク版EDT 100ml
 

Tanu's Tip :

 
1959年、ジバンシィ初のメンズフレグランスとして、昨年10月にご紹介したベチバーと共に登場したムッシュ・ジバンシィ。その2年前にスウィートなランテルディとルド(1957)でスタートしたばかりのジバンシイは、早速ペアフレグランスとしてもお使いいただけるよう、2種類のメンズを発売したわけですが、折しもグリーンシプレやシトラス・アロマティック〜シトラスシプレのような、オークモスもっこりで爽やかさと思慮深い穏やかさを併せ持つ香調がメンズのラインでは人気急上昇、そこでジバンシィも間違いない所でそつなくグリーンのベチバーとシトラス・アロマティックのムッシュ・ジバンシィを出したのでしょう。女性が彼氏のボトルを拝借してまとっても、充分爽快で無理がありません。
 
ところが非常に肌馴染みよく快適な、過剰に男を主張しない、この手の淡麗美男子最大の弱点は「持続が弱い」。裏を返せば「相手にしつこくしない礼儀正しさ」「諦めの良い潔さ」につながるのですが、先立つ事4年のシャネル・プールムッシュウよりも造作がシンプルな、さらにサラサラ、キラキラとした岩清水系シトラスシプレであるムッシュ・ジバンシィは、シトラス+ラベンダーやバーベナなどのアロマティックハーブ+オークモス、といった超スタンダードな構成で、第一印象はすごくいいが今そこにいたかと思うともういない役付の中年男性のようで、おはよう、あれ?今そこに部長いたよね、あの人いつもニコニコして感じもいいし、身持ちも良さそうだけど、ここ1番って時にいつもいないんだよね!せめて席に座ってハンコでも押しててくれてりゃいいのに、いないんじゃどうしようもないじゃない!なに、客と昼飯行った?まだ11時じゃない…そして、部長が「朝は確かにいた」事を誰しもが忘れて通常業務は滞らず、といった存在感の薄さを感じます。
 
通常、ジェントルマンコーナーは「下半身に6プッシュ」という基準値を設けているのですが、とてもそれでは鼻まで香りがあがってこないので、ジェントルマンにはやれ腹につけろとか胸に10プッシュしろとか例外指示をしてまで試香してもらいましたが、それでもポラロイドに映ったのは「スコットランドのギターバンド」。何故か、スタミナ不足で気づいたら全く存在感のない香りを試すと、高確率でスコットランドのギターバンドが写ってしまいます。そんなにスコットランドのギターバンドは持ちが悪いんでしょうか。そういえば、80年代から90年代にかけてグラズゴーや周辺地域から多数世に出たギターバンドは、確かにデビュー盤は絶賛されるのですが、評論する方も堪え性がなくてすぐポイ捨て、本人たちも根性続かず解散、何十年もしぶとくやってるバンドってあまり思い浮かびませんね。残っているのはティーンエイジファンクラブとプライマルスクリーム位でしょうか。
 
 
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